2025年02月号 第117話 雑草を食す

南草津のそうむらファミリークリニック、内科医師の宗村万里子と申します。小児科医の夫が開業していたクリニックに令和3年より合流し、内科医師として勤務させて頂いております。よろしくお願いいたします。

エッセイ投稿の締め切り4日前になってしまい、何かネタはないかと庭に出ましたら、まだ1月末なのに蕗の薹が芽を出していました。もう春が来ているのですね。芽吹きの季節の春になるとうきうきします。

雑草

私は昔から食べられる雑草を探すのが大好きです。小学生の頃は、休み時間に校庭でイタドリを採っては皮をむいて食べていました。自分で食べ物を採って食べるサバイバルな感覚がうれしくて、酸っぱいイタドリを大人びた味に感じて食していました。つくしもよく採りに行きました。たくさん摘んで家に帰ると、つくしの袴とりをして母親がつくしの炒め煮を作ってくれました。自分が摘んできたつくしを家族みんなが美味しいと食べてくれるのが子供ながらにすごくうれしかったです。

時には失敗もありました。小学1年生の時にお花係(クラスメートが自宅から持ってきてくれたお花を花瓶に生ける係)だった私は、紫色の綺麗なアヤメの花を『こんなに綺麗な花はきっと美味しいに違いない』と思って花びらを食べてしまいました。口に入れて咀嚼すると、ものすごく苦くて思わず吐き出しました。その後数日間、舌が痺れて味覚もおかしかったのを記憶しています。『綺麗な花には毒がある』を身をもって経験しました。先生や親に花を食べたことを話すとしかられるような気がして、舌が痺れるのを周囲に内緒で我慢していました。

このような幼少期を過ごしておりましたが、大人になってからは日々の生活に一杯一杯で雑草を食べることからしばらく遠ざかっておりました。育児休暇を頂いていた時に、食べられる雑草探しに再びはまりました。カラスノエンドウやヨモギ、たんぽぽ、はこべ、なども食べられることを知り、子供とお散歩がてら採取して、ナムル・ごま和え・天ぷらなど色々な調理方法を試してみました。今まで食してきた中でのおすすめは、たんぽぽの(花の)天ぷら、カラスノエンドウの若い芽のごま和え・ナムル・掻き揚げです。特にたんぽぽは子供が喜びます。カラスノエンドウは穂先から10cmくらいのところが柔らかくて癖がなくて美味しいです。下の写真は昨年の春に庭で採取したたんぽぽとカラスノエンドウです。この日は天ぷらにして食していますが、家族皆に好評ですぐなくなります。我が家ではこのように春になると時折雑草が普通に食卓に登場します。

こちらはカラスノエンドウのさやです。まだ小さくて若いものを採って、茹でてみたものです。美味しそうに見えますが、筋ばっていてあまり美味しくありませんでした。カラスノエンドウを食すときは、さやは美味しくありませんので皆さまもご注意下さい。

そんなわけで私にとって春は野の草花から偉大な自然の力をいただける季節でもあり、春が来ると心浮き立ちます。今では子供達はたんぽぽを摘みながら『ママ天ぷらにして~』などと言い、居合わせた周囲の大人を驚かせています。 ただ、子供達もそろそろ大きくなってきて、私の趣味にいつまでつきあってくれるだろうか、、、と感じる今日この頃です。

宗村万里子(そうむらファミリークリニック)