2023年11月号 第102話 はやし脳神経外科クリニックのロゴ由来

私は研修医生活が終わり、京都大学脳神経外科教室に入局した。同期は5人だけだった。平日は早朝から深夜までカンファレンス・術前の準備や病棟業務に追われながら必死に生き抜いていた。部活の合宿みたいだった。休日は休日でバイト三昧。散髪もいけない状況であった。総理大臣が変わろうが私の生活は変わらなかった。今では考えられない生活であった。でも楽しくもあった。やりがいはあった。

寝不足が続き私の細い目がさらに細くなったときに同期の1人から【カピパラに似ているな】って言われた。振り返ればこれがロゴにつながるとは露知らず、独身であった私は【せめてリスとか言ってよ】といった覚えはある。最近、久しぶりに命名した同期に会った。「あんなに嫌がっていたのにロゴになったとはびっくりしたよ。」って言われた。私は「もてたかったからそんな余裕はなかったのかも」って照れながら杯を交わした。

なぜカピパラを採用したのか。そもそもクリニックの特徴を表す【ロゴマーク】は、クリニックの集患にも影響する大事な要素である。ロゴマークは特性・独自性を分かりやすいメッセージにして地域のみなさんに発信することで、クリニックの存在価値を高める役目がある。【私の顔=カピパラ】が戦略の一つになるとふとリビングで思いついた。今思い返せば、妻・娘・息子からカピパラと散々言われ続けた。これが今回の要因となっていた。これだと稲妻が全身に走った。ロゴマークは、クリニックのイメージを訴求できる。当院の脳神経外科なら頭、診療科目のパーツに最適で分かりやすく伝えられる。柔らかい色にすることで、アットホームな雰囲気のクリニックをアピールできる、これでクリニックの特性を伝えることができると考えた。

はやし脳神経外科クリニックのロゴ

脳神経外科のイメージ

  • 【脳神経外科は何をやっている科目なの】
  • 【怖くて受診しづらい】
  • 【当日MRIを撮ってもらえないよな】

脳神経外科は敷居が高いというイメージをなんとかして覆したかった。私の顔をロゴマークに使うことで、地域住民の方の知名度を高めることができると判断した。顔でもカピパラにすることで柔らかくなる。動物病院っぽいほうが目立つ。試行錯誤して今回のロゴマークになった。
カピパラ、カピパラと言い続けているが実際はどんなものか。実は時速50km走れる俊足の動物。アナコンダ、ワニ、ジャガーといった天敵から逃げるときに速く走る。世界最大のげっ歯目、巨大なネズミの仲間である。性格は非常に穏やかで、群れを成して生活をする。多くの動物園で飼育され人気を集めている。頭をなでていると寝てしまうこともある。とてものんびりで和み系の動物である。

私が普段から心がけていることは、【話をしやすい人でいる】ことです。話しづらいと大事なkey wordを聞けずじまいで、患者さんにとって不利益となる。それは早期発見ができないことにつながる。患者さんとって不利益以外何物でもない。患者さんは自己負担額を支払っているので私はできる限りの医療サービスを提供したい。カピパラのように優しく・愛嬌がある(話をしっかり聞く)、いざというときに機敏な動きができる(適切な医療を提供する)。ここでカピパラと自分とを重ね合わることができる。続けることで踏み入れやすいクリニックになると確信した。しかしまだ始まったばかり。驕り高ぶらず行こうと決意した。

カピパラをロゴマークにしたことで子どもとの関わりが増えた。勤務医の時は休日・夜間に関係なく呼び出しがあり、遠出などできない。そんな状況が10年続いた。申し訳なかった。しかし緊急業務がない今、自由な時間が増えた。子どもとの会話も増え、弾むようになった。先月はカピパラを見るために旅行にいった。久しぶりであった。いい思い出となり、活力をもらえた。カピパラは当院だけでなく家庭も円満にしてくれる。私が受けた恩恵を地域の皆さんに何としてでもお返ししたい。そう思いながら日々診療に努めています。

林 晃佑(はやし脳神経外科クリニック)