2023年05月号 第96話 「らんまん」にかこつけて
私は、生まれてから高校卒業まで、四国の高知県高知市で過ごしました。いま、NHKの朝ドラで「らんまん」という高知県出身の植物学者・牧野富太郎の話をしているので、それにかこつけて、故郷・高知市の話をしようと思います。
高知県の県庁所在地である高知市ですが、海と山に挟まれており、1時間車を運転しても、海か山にしか行けません。1時間で他府県に行こうと思えば飛行機に乗るしかない、すごく交通の便が悪い場所にあります。
高知市の観光名所といえば、高知城・ひろめ市場・桂浜ぐらいでしょう。高知城とひろめ市場は、高知市中心部に隣接した施設です。高知城は天守閣まで上がれますが、ものすごい数の石段を上らなければ行けません。ひろめ市場は横丁のような施設で、現地のお土産やグルメが楽しめます。私が中学生ぐらいにできた施設ですが、当時から昼間でも半数以上の人がビールジョッキ片手にご飯を食べていました。
先日、数年ぶりに高知に行ってきました。子供連れでしたので、ひろめ市場と階段の多い高知城はさけて、桂浜に行ってきました。太平洋沿いにある桂浜は、浜なのに遊泳禁止です。浅瀬があまりなく、海に入るとすぐ深くなっているためです。ここに小さな水族館があります。ショーはないのですが、ウミガメ・トド・アシカ・ペンギン、そしてなぜかカピパラに餌やりができます。ウミガメって、のんびり砂浜をちょこちょこ歩いているイメージだと思うのですが、餌に寄ってくるウミガメは狂暴です。餌やりのトングに噛みついてひっぱりますし、噛みついてくるときの顔が怖い。餌やり場のいたるところに、「手を出したらかまれるから注意してね!」と書いてあって、本当にかんできます。京都水族館やニフレルとは違う、野性的な生き物をみることができます。
桂浜から15分ほど西に、海沿いに車を走らせると、小さな漁港につきます。1-2人しか乗れないような小さな漁船が十数台とまる漁港で、このそばに「萩の茶屋」という、見た目民宿のようなレストランがあります。貝焼きが名物のお店なのですが、焼肉や中華もあり、全部おいしいお店です。ここのウェイトレスさんは、気のいいおばあちゃんばっかり。何十年も前から変わりません。長太郎貝、マテ貝、あさり、ほたて、サザエなど貝ばっかり、10種類ほど取り揃えて持ってきてくれ、それをコンロで焼いて食べます。貝はもちろん動きますし、たまに潮を吹きます。子供たちは食べた後の貝殻を集めて持って帰って、貝にペイントして遊びました。外に出ると砂浜があり、海に入れますし、ここでも貝殻をとったり、砂に穴をほっているカニをとったりして遊べます。海の家も、レジャーセンターも何もないところですけど。
高知市は、交通の便は悪いのですが、沖縄とはまた違う「南国」が楽しめる場所です。一度訪れてみることをお勧めします。
駒野 真理子(南草津婦人科まりこクリニック)