2022年10月号 第89話 黒いダイヤ

夏休みに、カブトムシ、クワガタムシが大好きな小学生の息子を連れて、比叡山の「かぶとむしの家」に行ってきました。かぶとむしの家は比叡山ドライブウェイ内の「夢見が丘」にあり、450㎡の雑木林をネットで覆い、その中にかぶと虫を放し飼いにしています。カブトムシが木に普通に止まっているので、見て、触って、その生態を自然の中で観察できます。

また隣接する展示場では外国産のカブトムシやクワガタムシが展示され、実際に触れる事もできます。さらには販売もしています。少年達の憧れ、ヘラクレスオオカブトムシの生体も展示されており、触れる事が可能です。息子はヘラクレスオオカブトムシを触って大喜びで、持ち上げているところをしっかり写真におさめましたが、売っているとわかって欲しいと言い出しました。なんと、成虫は数万円、幼虫で数千円の値がつけられています。さすがにカブトムシにそのような大金を出せませんし、息子もさすがに高いと思ったようですぐに諦めてくれました。その代わりに、クワガタがほしいと言い出しました。すぐ横で、外国産のニジイロクワガタ、国産のノコギリクワガタ、ヒラタクワガタ、そしてオオクワガタ売っていました。私はオオクワガタを見て思わず興奮してしまいました。

私は、小学生の頃、カブトムシ、クワガタムシが大好きで夏になると家の近くの雑木林に早朝より出かけてはカブトムシ、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなどを捕まえて、おがくずをいれた水槽で生育していました。ただ、オオクワガタは、私も捕まえたことや誰かが捕まえたなどの話も聞いた事がなく、図鑑でしか見たことがない幻のクワガタでした。また、オオクワガタは昆虫収集家の間で、その昔黒いダイヤと呼ばれ、大きい個体は何十万もの値がつけられマスコミでも話題になっていました。

息子は、「オオクワガタがほしい」と言ってきましたが、実は私も欲しかったので、2つ返事OKと言ってしまいました。後で知った事ですが、黒いダイヤと言われたオオクワガタも、最近は飼育方法が確立され、かなり値段が下がっているようです。実際そこでも、大きさに合わせて3000円から4000円くらいで売られていました。私は息子に気に入ったオオクワガタ選ばせて、ペアで買って帰りました。

自宅に帰ると早速情報収集です。ネットで調べるとyoutubeでオオクワガタの生育方法、ペアリング、幼虫の育て方など動画がたくさんアップされています。ほんとに便利な世の中になりました。まず昆虫ケースを用意し、マットとよばれる、クワガタ飼育用のおがくずを中に敷き詰めペアを入れます。餌もクワガタ用の栄養価の高いものが売られておりこれを与えます。私の少年時代はスイカの残りがカブトムシ、クワガタムシの定番のえさでしたが、実は良くないようです。

数日オオクワガタを観察して気づいた事は、非常に警戒心が強い事です、餌を食べていても少しケースが揺れただけで餌を食べるのを止めて隠れてしまいます。このような警戒心の強さも幻のクワガタと呼ばれる所以かもしれません。

後日、直径6~7㎝、長さ10㎝程度のクヌギの木をいくつか準備し、youtubeの産卵セットの組み方という動画を参考に、クヌギの木をマットの中に埋め込みました。さて、オオクワガタはうまく交配し、メスは卵を産んでくれるでしょうか。数ヶ月後が楽しみです。

森 毅(滋賀もりブレストクリニック)