2015年10月号 第7話 メンタルヘルスQ&A

 「心の健康」についてたくさんの質問が寄せられます。質問とその回答はご紹介します。

Q1 うつ病は病院に行かないと治りませんか?病院にかかったら保険はききますか?

A1 うつ病は精神科あるいは心療内科など専門医療機関で治療する病気です。自然に改善することもありますが、放置するとうつ病は重篤化、慢性化する可能性があり、また自殺などの危険もあるので、先ずは医療機関を受診し精神科医等の指示に従ってください。もちろん、このような場合には健康保険が使えます。

Q2 出張や旅行等で体調が悪くなったりしますが、うつ病等の可能性はありますか?環境が変わると体調をくずしてしまいます?

A2 出張・旅行先で体調をくずされる方がいます。出張中、あるいは戻られた後に「眠れない」、「食事がおいしくない」、「体がえらい」、「疲れがとれない」など、体調の異変に気付かれた場合は、診療所の医師にご相談ください。うつ病、不安障害、心身症をはじめいろいろな障害の可能性があります。

Q3 自分で気づかない「うつ」が他人からみたらわかるのですか?自分で気づかない「うつ」は軽度な「うつ」ですか?

A3 本人が気づかない場合でも周囲のひとに「うつ状態」が気づかれることはあります。それは軽症な場合だけでなく重症なうつ病でもあり得ます。本人は気づかないうちに色々なことで悩み、ひどく落ち込んでしまっていることがあります。
また身体症状が前面にでる「仮面うつ病」の場合には、本人はうつ病とは気づかず内科的な病気と思っています。周囲の理解と指導が必要となってきます。

Q4 どの障害レベルから受診が必要になりますか?

A4 症状が激しく、会社に出勤できない場合は必ず精神科か心療内科に受診してください。しかし、ちょっとした異常(たとえば軽い不眠とか)に気付かれたとしても、普通の生活ができないと思われたら、遠慮されずもよりの診療所を受診してください。多くの病気は早期に発見し、素早く対応すれば比較的早く回復します。

Q5 うつ病で早期に自覚できる場合はありますか?周りが気づかない限り分かりにくいものですか?

A5 自分でうつ病になったかも知れないと早目に気づけるときがあります。「よく眠れない」、「あまり食べたいと思わない」、「何をやっても楽しいと思えない」、「何もやる気がしない」などの症状が続けばうつ病が疑われます。周囲が気づく前に、本人が先に気づくことがよくあります。早く専門医にかかってください。

Q6 うつ状態の人と接するときに一番重要なことはなんでしょうか?(一人にする時間を長くした方がよいのか。聞き役に徹しては会話にならないのでは。)

A6 うつ状態で悩んでおられる方への接し方として「傾聴の姿勢」が大切です。聞くばかりでは会話になりませんが、本人にとって悩みを共有してもらえる人がいるというだけで心の支えになります。反対に安易な気持ちで指導したり、励ましたりしないことも大事なことです。

Q7 現代人はメンタル面で弱いですか。そのため精神的な病気になりやすいのでしょうか?

A7 難しい質問です。よく現代人はストレスに弱いと言われますが、ストレスの多い現在に50年前のひとを、「タイムトンネル」か何かでつれて来れるとしたら、おそらくそのひとは上手く社会に適応できずストレスで発病するかも知れません。

以上、主にうつ病に関連するQ&Aをご紹介しました。ご参考になりましたでしょうか。

草津栗東医師会 理事 佐藤 啓二(メープルクリニック)