2015年09月号 第6話 開業医として20年経過、つれづれに思うこと
20年前の平成7年(1995年)4月に自分の生家である草津市大路にクリニックを開き、気が付けば「あっ」という間に20年が過ぎてしまいました。20年という歳月は当たり前のことですが、ゼロ歳児が成人する期間でもあり、影も形もなかった人が大学受験や就職といった人生の節目あるいは岐路に立つときでもあり、やはり長い時間であろうと思われます。この長い時間を「あっ」という間に過ぎてしまったと感じるのは時間の感覚のない生活をしているためであったのだろうか、あるいは無駄に歳月を費やして年を取ったということであろうかと自問しています。
開院当初は来院患者も少なく、知り合いの方がポツリポツリと見える程度で、小学校、中学校などの同級生の親を診る機会もありました。その後来院される方が、ポツリポツリと増え、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や泌尿器科癌を診るようになり、開業当初無縁であろうと考えていた認知症などの相談も増え、さらには同級生の親やこれまで通院できていた人が、通院できなくなり、在宅診療にきりかえ、在宅で看取り等々と、最初に言いましたように「あっ」という間に20年がたってしまいました。それこそ20年も経ちますと、今度は同級生を診る機会が多くなり、その中には癌であったり、心筋梗塞であったり、年齢相応の疾患が多くみられるようになりました。やはり20年という時間は、時には「あっ」という間の時間でもありますが、来院される方々をみていますと、親から子へと世代交代がみられ、やはり長い時間のようです。
一方、自身を振り返ってみますと、団塊の真っただ中の世代であり、マスコミ等で2025年問題(団塊世代が介護対象になる時期)、2035年問題(団塊世代が死亡する時期)と言われ、団塊世代に対していろいろ風当たりが強いようですが、まだまだ地域の医療に貢献できるであろうと考えております。団塊世代ではありますが、今しばらく地域医療に励むつもりでおります。
草津栗東医師会 理事 中野 悦次(中野クリニック)