2025年06号 第121話 病院機能評価を終えて

2025年4月より淡海医療センターの病院長を拝命いたしました森谷季吉です。まだ不慣れな点も多い中ですが、このたび就任後初の大きな仕事として、病院機能評価 一般病院2〈3rdG: Ver.3.0〉の受審を無事に終えることができました。今回はその過程や感じたことについて、ご報告させていただきます。 

今回の病院機能評価は、昨年度の春に受審が決まりました。本来は5年ごとのサイクルですが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となり、前回(2019年)から6年ぶりの受審となりました。私は今回、全体を統括するワーキンググループのリーダーとして、準備の陣頭指揮をとらせていただきました。

当院での私の機能評価経験はこれで4回目となります。前回は第1領域(患者中心の医療の推進)のリーダーを務め、院内の医療安全や医療倫理等に関する指針や規約、マニュアルの整備と、その運用を現場にどう落とし込むかという部分に関わっていました。当時は、医療安全や倫理の文化が着実に育ってきたという手応えを感じたことをよく覚えています。以前の2回の受審では、専門の外部コンサルタントにも入っていただき、詳細な指導のもとで評価を受けてきました。ただその反面、実際の診療現場との乖離や、評価のための“見せ方”が先行してしまう傾向もありました。特に前回は、受審に合わせて一時的に理想的な状態を作り上げたものの、終了後には元の状態に戻ってしまったという反省もありました。

今回はその反省を活かし、あえてコンサルタントを入れず、日常の診療・看護・業務の延長線上で、私たち自身の力で「持続可能な改善」を目指すことにしました。そして、できるだけ多くの職員がこの取り組みに関わり、病院全体で一丸となって評価に臨むことを大切にしました。特に今回は新たに「カルテレビュー」という項目が加わりました。これは、指定された1週間に退院したすべての患者(当院では約200名程度)のカルテをリストアップし、あらかじめ定められた観点に従って、記載内容を整えて提出するというものです。通常診療の延長とはいえ、診療やケア、検査、IC記録、患者の反応などをもれなく適切に記載する必要があり、関係する多くの職員が協力して取り組みました。内容としては“普段通り”であるはずですが、「当たり前の質」を全職員で意識して共有する機会となり、非常に有意義でした。

サーベイヤーからの講評では、いくつかの改善点の指摘はあったものの、全体として我々の姿勢や取り組みに対する評価は前向きなものであったと受け止めています。正式な結果はまだ先になりますが、病院長としてのスタートを、職員全体の力で乗り越えられたことをとても嬉しく思っています。
これからも、この経験を土台に、地域に信頼される病院づくりに励んでまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

森谷 季吉(淡海医療センター 病院長)