2026年01月号 第125話 実体験の大切さ

2025年12月1日より南草津にて、胃・大腸カメラおよびCT検査を行えるクリニックを開院いたしました。開院にあたっては、大先輩の金井先生、そしてお隣さんでもある八木先生をはじめ、本当に多くの方々のお力をお借りし、なんとかここまで漕ぎ出すことができました。心より感謝申し上げます。

開院前には得難い経験をいくつも重ねました。
一つは胃カメラです。もともとある程度は鎮静で実施しようと思っていたものの、感覚としては鼻カメラと半々くらいの気持ちでした。鼻カメラ検査後に「楽だったよ」と笑顔で言ってくださる方が多く、私自身も“楽な検査なのだろう”とどこかで思っていたのです。ところが開業前に自分が受けてみたことで、考え方が180度変わりました。鼻は痛い、喉は気持ち悪い——二重苦に感じてしまいました。これまで笑顔で「ありがとう」と言ってくださった方の中にも、私に気を使わせまいとしてくださった方がいらしたのかもしれない。そう気付かされた経験でした。

次に大腸カメラです。これも開業前に受けました。挿入の体験は起きている状態でしてみたかったので、上手な後輩にお願いしたところ、痛みはまったくなかったように思います。ただ、普段は幾度となく行っている検査でも、いざ自分が受ける立場になると、ベッドに横たわって待つ時間や、お尻にカメラが入る瞬間など、随所でドキドキが収まりませんでした。もしここに痛みまで加わっていたらと思うと、耐えきれないと感じました。一方で、観察の際に麻酔を使ってもらえたときは本当に救われた気持ちになり、検査後は穏やかな心で目覚めたのをよく覚えています。

最後はCTです。家族が、CTを撮らなければはっきり診断できない病気になったことがありました。そのとき、どこに、誰に相談したらよいのかも分からず、病院で無碍に断られるのが怖くて、相談することにさえ二の足を踏みました。だからこそ、必要なときにCTへアクセスできる“はっきりとした窓口”が地域にあればどれだけ心強いだろう、と強く感じました。

こうした経験をすべて詰め込んで、今のクリニックをつくりました。自分が生まれ育った街だからこそ、この場所で暮らす方々が少しでも安心して日々を過ごせるよう応援できれば、これほど嬉しいことはありません。経験の大切さを実感しながら準備してきたつもりでしたが、いざ開業してみると、私はまだまだ頭でっかちな計画で、スタッフの皆さんを振り回してしまっていると痛感しています。申し訳ない気持ちでいっぱいです。この気持ちも糧にしながら、スタッフとともに、より良いクリニックをつくっていきたいと思います。

今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

大井 雅之(南草津おなかと胃大腸カメラのクリニック)