2021年07月号 第76話 子供とゲーム
近視の原因は日光を浴びる時間の減少や近業作業の増加などいろいろ言われているが、 近くを見る機会が増えたことは原因の一つで間違いないと思う。特にコロナウイルスの影響で家にいる機会が増え子供の近視が増えた(ちなみに心因性視覚障害も)。
たかが近視ではあるが、近視の度数が-8Dを超えると将来的に緑内障や網膜剥離を発症するリスクが高くなる。近視は成長期に進むので、小学生や中学生の近視の進行を止めることはとても大事である。にもかかわらず 子供の回りには長時間の近業作業を促すようなスマートフォンやゲームなど子供の興味を引くものがあふれている。
当院は眼科なので近視の子供が来院する。親の”ゲームを減らすように言ってください”という目をみて“わかっています。まかせてください”とアイコンタクトを取り、子供に偉そうにゲームとスマホのし過ぎは良くないと指導する。それも私の仕事である。
ついこないだも、小学6年の子供に、ゲームは1日1時間までにしようと偉そうに言ってはたと気が付いた。この子の顔はみたことがある。我が家にゲームをしに来ている子ではないかと。
そうである。うちの息子は私がどんなに怒っても、ゲーム機器に時間制限をかけても、目の前でゲームを捨てても、その裏をかきゲームをやめないゲーマーである。凝り性で世界何十位なったとか言って喜んでいるような息子である。私よりも機械に詳しく、私を出し抜くなど造作もない。この能力を他に生かせないのかといつも考える日々である。
知り合いであることに気が付かないふりをし、患者の親に心の中で謝った。申し訳ない。うちの子のせいです、と。
それから、子供の患者の住所は確認するようこころがけている。
加地 まり(加地眼科)