2020年07月号 第64話 新型コロナが与えてくれたもの

今皆さんは新型コロナウィルスでとても大変な思いをされていると思います。昨年8月に開院し、まだ1年も経過していない私のクリニックも当然、患者数激減の嵐に巻き込まれました。こんな事態になるとはこの正月の頃には全く想像しておりませんでした。

私が大切にしている言葉の一つに「人間万事塞翁が馬」があります。人生は幸運だと思っていたことが悪い結果につながったり、逆に不運だと思っていたことが幸運につながったりするため安易に一喜一憂するべきではないという意味ですが、コロナ禍真っ只中の今の私の状態もこの言葉が良くあてはまります。

まずは診察に費やす時間が減ったため、持て余した時間を使い、クリニックのホームページの見直し、修正を行いました。また厚生労働省のオンライン診療の講習を受講し、全く行っていなかったオンライン診療を開始しました。さらに公式LINEホームページを作成し、患者さんとインターネット上で双方向性のコミュニケーションが行える態勢を作りました。また診療がタイトになり、無理が生じていた部分の予約枠数を見直したり、出勤するスタッフの数を調整し、土曜日の午後に診療枠を設けたりもしました。

これらは患者さんが順調に増加して、また診療に追われたままの状態であればきっと行えていなかったと思います。もちろん減少した患者さんに少しでも医療への関心を持ってもらおうと必要に迫られて始めた部分もありますが、きっとコロナウィルスの脅威が去った時にもこの取り組みが活かされてくるのではと感じております。

プライベートでは自宅に帰る時間が早くなり、また子供達が休校により家にいるため、自宅で卓球などをして一緒に楽しむこともできるようになりました。飲み会がなくなり妻と晩酌をする日も増え、会話も増えてまあこれはこれでいいなと思っています。

世間ではコロナ倒産、コロナ失業が問題となってきています。当クリニックも全く人ごとではありません。しかし下ばかり見るのではなく、「人間万事塞翁が馬」の言葉を胸に、前向きに淡々と日々を送っていこうと思います。

宗村 純平(そうむらこどもクリニック)