2019年03月号 第48話 乾燥肌にとって良いこと、悪いこと

秋から冬に肌の乾燥を自覚する人は多いと思います。特に、子供(生後数か月~10歳前後)は、作られる皮脂量が少なく乾燥しがちです。また、30代後半から皮脂の分泌が減少し、さらに高齢者は発汗量が減って、皮膚も薄くなるので非常に乾燥しがちです。

乾燥肌とは?
肌の表面には角質層があり、その表面を皮脂が覆っています。角質層が水分を保ち、皮脂が膜をつくって肌のうるおいを保ってくれています。角質層と皮脂は外部からの刺激を防ぐバリアとして働いています。乾燥肌とは、角質層の水分が少なくなったり、皮脂の分泌が低下することによって、バリア機能が働かない状態です。
乾燥肌を放っておくと角質層がはがれてバリア機能が低下します。そこにアレルゲンや刺激物質(汗や洗剤、衣類の摩擦など)が入り込んで、痒みを引き起こします。

ここ数年、冬の肌着としてヒートテックなどの機能性インナーを着る人が増えています。薄くて、温かくとても良い商品だと思いますが、乾燥肌の方にはおススメできません。
機能性インナーは、人の肌から水蒸気を奪い、繊維が吸収すると水になります。この時に周囲に熱を発っするので、身体に繊維をフィットさせて身体を温めることができます。人間は体温が上がると、温度調節で肌から水蒸気を放出するので、バリア機能の低下した乾燥肌の人が着ると、ますます角質層の水分が蒸発して乾燥が進行してしまいます。乾燥肌の悪循環に拍車をかけることになるのです。

乾燥肌でお悩みの人や小児・高齢者の方は、綿100%の肌着を選んでください。
タオルで皮膚をごしごし洗い、皮脂を奪うことをやめてみてください。
保湿をすることも、とても大切です。
痒みで集中できない、しっかり眠れないという人が、少しでも減りますように。

井浦香世(いうら皮ふ科クリニック)