2020年10月号 第67話 趣味は筋トレです
ゴルフや囲碁のように堂々と公言できる趣味ではありませんが、かれこれ30数年続けております。筋トレを始めたきっかけは、1984年公開の映画 ”ターミネーター”でアーノルド・シュワルツェネッガー氏が人間離れした肉体を披露しているのに魅せられたという至極単純な理由からです。シュワルツェネッガー氏がミスターオリンピアを7回も制したボディビルダーだったという事を記憶されている方も少ないかと思います。
当時16歳だった私は、ダンベルとバーベルを購入して筋トレのビッグスリーとも言われる、ベンチプレス、デッドリフト、スクワットを毎日黙々と続けました。分厚い胸板、逆三角形の背中、逞しい力こぶ、もりあがった尻を作りだすため、日々励んだ結果、約1年でわずか58㎏だった体重が73㎏まで増量しました。努力次第で自分が理想とする肉体を手に入れることができる筋トレは自分の性に合っていると実感しました。大学に入るのに一浪したため、一年間筋トレを中断したところ、60㎏までやせ細りました。どうも鍛えていないとやせる体質なのです。
大学に入学してボート部に在籍した私は筋トレを再開。1日2時間体を鍛えました。この頃は1日5回食事を摂り、プロテインも飲んでおりました。肝心のボートでは大した成果が出せなかったので本末転倒でしたが、充実した学生時代でした。
医師になってからは、長時間筋トレに時間をかける訳にもいかず、自宅やフィットネスクラブで細々とトレーニングを続けました。医師という職業柄、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病の患者さんに ”適度の運動を行うように。” ”腹八分目にするように。”等といった偉そうな療養指導を行う手前、自分自身の腹が出て、体がふやけるわけにもいかないので、モティベーションが程よく保たれました。奥手な私は、43歳で結婚、44歳で男の子を授かりました。息子は生後数か月で私のダンベルを転がして喜んでいました。血は争えないものです。
今年の1月に齢47歳となり、3月に医院を開業しました。開業というものは、想像していた以上に多忙で、いろいろな事に気を使います。ワークアウトに汗を流せば、ストレスも解消できるのですが、開業してしばらくはクリニックで仕事、自宅で喰う寝るといった不健康な生活が続きました。幸いなことにクリニックの中に八畳半ほどの広さの院長室を持つことが出来たので、30㎏のダンベル2本とベンチブレス用のベンチを持ち込み、院長室兼トレーニングルームとすることが出来ました。患者さんが来ない暇な時間には院長室にこもり、黙々とワークアウトに励みました。私の主たる業務のひとつである大腸内視鏡検査は指先や前腕をはじめ、かなり体力を要する作業なので体力の維持に役立って居ります。
開業から半年が経過し、患者さんが沢山来てくださるようになり、院長室にこもる事ができなくなってきました。現在は週2回程度鍛えるのが限度ですが、体重は70kgを維持しております。息子が小学生になって運動会に参加する頃には、齢55歳になっているでしょうから、若いパパさんに負けないようにこれからも身体を鍛え続けようと思います。
My life work is work out. No pain , no gain. 座右の銘です。
光田憲彦(みつだ内科クリニック)