2020年04月号 第61話 今村翔吾講演会

普段中々本をゆっくり読む時間がないのですが、それでもできるだけ読もうと心がけています。ここ数年、小説の中で一番はまっているのが、嫁さんオススメの今村翔吾さんの羽州ぼろ鳶シリーズ(祥伝社文庫)。

羽州ぼろ鳶シリーズ

他にも『くらまし屋家業』も面白いです。読み出したらグイグイ引き込まれてしまいます。その今村翔吾さんの講演会が、なんと令和2年2月2日草津図書館で開催され、さっそく大喜びで行ってきました。

今村さんは現在も滋賀県在住で、少し前までは草津にもお住まいだったそうです。それも結構近くに!・・・もしかしてどこかですれ違っていたかも!と思ってしまいました。

今回の講演会の演題は、「私が小説家になった理由」。
当時ダンスのインストラクターをされていたそうなんですが、家出を繰り返す教え子を迎えに行った時に、
「やりたいことがあるなら、諦めるな」

と声をかけたところ、逆に、

「先生こそ小説家になるのを諦めてるのと違うの!」

と言われたことがきっかけだとか。

もともと、小学校5年生まで、読書経験ほぼなしだったそうなのですが、出先の古本屋で買ってもらった池波正太郎の『真田太平記』にはまり、中学に入る頃には、司馬遼太郎作品などをすべて読破していたとのこと。

そして高校卒業の頃には将来は歴史小説家になろうと思っていたそうですが、枯れてからでないと歴史小説は書けないと思っていたため、筆を執ることはしていなかったのだそうです。それが、教え子に「夢を追っていない」と指摘されたことがきっかけで、一週間で仕事のダンスインストラクターをきっぱり辞めて、執筆一本で食べていこうと決められたそうです。その後、地方の文学賞で賞を取り、それが縁で北方謙三氏に認められ、祥伝社から『火喰鳥』で中央文壇にデビュー。さらには2018年『童の神』で第160回直木賞候補にもノミネートされました。

それにしても、高校生の頃から小説家になりたいとは思っていたとはいえ、そんな簡単に書こうと思って書けるものではありません。
講演会の最後の質問コーナーでもお話されていましたが、小説の書き方教室の様な所にも通ったことはないとのこと。これは、やっぱり若い頃に読んだ読書量に裏付けされたものなのでしょうね。今でも執筆の資料はご自分ですべてそろえられるそうです。

それにしても、今村翔吾さんのトークが素晴らしい!! 面白い!! あっという間に90分がたってしまいました。

今村さんは、「絶対に直木賞を獲る!」と宣言。それが教え子に対する答でもあるのだと言われていました。
かっこいいなぁ!

講演会終了後サインをいただき、写真を一緒に撮っていただきました。
ブログに載せてもいいですか?とお尋ねしたところ、

「僕、SNS、OK作家だから」

と言って下さったので、写真を公開させていただきます。

(ちょっと逆光になってしまいました)
(ちょっと逆光になってしまいました)

『ひゃっか!』は、草津の湖南農高がモデルだそうです。
『八本目の槍』は石田三成に関する本で、これも読むのが楽しみです。

板谷 隆義(板谷耳鼻咽喉科)