2019年07月号 第52話 保津川めぐり

先日家族で保津川下りとトロッコ列車に乗りに出かけた。川下りの乗り場は外国人の観光客で混んでいたが、乗船待ちの間の待合室の壁にある有名人のサインを見ながら、数年前に今話題の俳優さんが書かれたサインを見つけその字体からは堅物と思わせるしっかりとした字体であった。

さほど待ち時間もなく乗船の順番がまわり手こぎ船に乗るとはじめは穏やかな川の流れに身を任せて天気も良く時代劇に出てくる川の風景そのままの景色を堪能できた。

トロッコ亀岡駅を過ぎたあたりから川の流れがやや急になりところどころ急流の中水しぶきを浴びながら船は進んでいった。右にトロッコの線路の土手を見るとコンクリートだけでなくところどころ煉瓦になっておりその建設年代の古さを感じた。聞けば鉄道の開業自体は明治時代にされており百年以上前の建設でほとんど平地の無い山深い所での瞼背の大変さを偲ぶことができた。また川べりに大きな岩が点在しているのを見ると増水期には何度も洪水を起こす暴れ川と知ることができた。

京都近郊なのに天然のスッポンやカワウなども見ることができ少し感動した。嵐山の渡月橋付近で船を下船後、付近を散策してからトロッコ嵯峨駅に向かった。駅内にジオラマJAPANという日本最大級を誇る鉄道模型のHOゲージのジオラマ模型館があり、トロッコの待ち時間を利用して入館した。さらに、別料金・予約制で本物の機関車の運転台にて鉄道模型を運転することができる場所がありちょうど予約がなかったので運転してみた。運転台からは動かす模型自体は見えないためモニター越しの運転となったが、本物を運転している気分になり体験時間の15分間童心に戻った気持ちで無我夢中になれた。

時間が経過してトロッコ列車に乗り込んだら桜も紅葉もない季節ではあるが外国人観光客で満員であった。途中保津川の対岸の山肌に大量の倒木があり去年の台風で倒されてから処理が追いつかないと車窓案内で聞き、改めて自然災害の恐ろしさを感じた。今回初めて保津川をめぐってみて、まだまだその魅力に触れ足りないような気がしたのでまた出かけようと思う。

日下利和(くさか眼科)